こんにちは、元声優志望・現外資系コンサルタントのKotonoです。
今回は、女性向けボイスサンプルの中でも**「悲しみ」**にフォーカスして、
感情表現台本&解説8選をまとめました。
悲しみは、感情表現の中でも特に「上手く見せやすい」一方で、
オーディションでは意外と “減点されやすい”カテゴリでもあります。
なぜなら、多くの人が悲しみを
- 泣き声を入れる
- 声を震わせる
- 声量を落とす
…という「記号」に寄せてしまうから。
でも、制作サイド(音響監督・監督・マネージャー)が聞きたいのは、
悲しい“っぽさ”ではなく——
その人の悲しみが「状況として成立しているか」
言葉の裏のサブテキストが表現できているか
です。
この記事では、「泣く」ではなく、
悲しみを“設計”して観客に届ける方法を、外資系コンサルの視点(=プレゼン設計)で解説していきます。
この8本で目指すこと(ターゲットと目的)
■ターゲット:どんな役に刺さる?
悲しみ台本で刺さる市場(役柄・ジャンル)は以下です。
- シリアス作品の主人公/重要回担当
- 恋愛もの(別れ・後悔・すれ違い)
- 家族・友人を失う人間ドラマ
- 洋画吹替のナチュラル演技(泣き過ぎない)
■目的:「悲しみ」で証明すべき能力
悲しみカテゴリで評価されるのは、
感情の“深さ”と“グラデーション”
(泣く/泣かないの二択ではない)
です。
悲しみには種類があります。
- 失望
- 喪失
- 後悔
- 無力感
- 罪悪感
- 恐れ混じりの悲しみ
- 思い出が壊れる悲しみ
この8本を演じ分けられると、あなたの演技は「物語を動かせる声」になります。
悲しみ演技のコンサル式フレーム(最重要)
悲しみ演技のコツは、「泣くための技術」ではありません。
聞き手の心を動かすための設計です。
① 悲しみの“原因”を明確化する
悲しみは、背景(状況)で深さが変わります。
- 失ってしまった
- 裏切られた
- 間に合わなかった
- 何もできなかった
- 選択を間違えた
② 悲しみの“相手”を決める
悲しみは「誰に向けて」発生していますか?
- 相手本人へ
- もういない相手へ
- 自分自身へ
- 取り返せない過去へ
③ 悲しみの“出し方”を選ぶ
ここが超重要です。
- 外に出る悲しみ(泣く、声が震える)
- 内に沈む悲しみ(淡々と、息だけが乱れる)
悲しみは後者(沈む演技)ができると一気にプロっぽくなります。
【悲しみ】感情表現台本&解説8選
1)夢が終わる悲しみ(諦め)|静かに折れるタイプ
台本
「もう少しだけ夢を見ていたかった……でも、それが叶わないことだってわかってるんだ。
現実って、どうしてこんなに残酷なんだろう。
胸が締めつけられるように痛い……。」
戦略的演技ガイド
- 声を落とすより息を重くする
- 「……」がメイン。余韻で苦しさを伝える
- 語尾は消す(終わらない痛み)
強調キーワード
- 「叶わない」=諦めの確定
- 「残酷」=世界への問い
- 「痛い」=身体化
2)裏切りの悲しみ(崩壊)|信じてたのにタイプ
台本
「信じてたのに……こんな形で裏切られるなんて思ってもみなかった。
もう、どうすればいいのかわからないよ……。」
戦略的演技ガイド
- 泣くより「理解が追いつかない」演技が刺さる
- 1文目は“崩れる音”、2文目で途方に暮れる
- 「わからないよ」は子どもっぽくしすぎない
3)無力感(助けられない)|罪悪感タイプ
台本
「ごめんね……私には、あなたを助けてあげる力がない。
それが、こんなにも苦しいことだなんて……思いもしなかった。
隣にいるのに、何もできない自分が悔しいよ……。」
戦略的演技ガイド
- **謝罪(ごめんね)**が核。丁寧に置く
- 「隣にいるのに」で感情が深くなる
- ここは泣きより“耐える”方が強い
4)後悔(選択ミス)|自己嫌悪タイプ
台本
「あのとき、もっと勇気を出して踏み出していれば……こんな後悔に苛まれずに済んだのかな。
……失ってから気づくなんて……あーあ、馬鹿だな。」
戦略的演技ガイド
- 1文目は思考、2文目で心が落ちる
- 「あーあ」は軽くしない。人生の落ち込み
- 最後「馬鹿だな」は自分に刃を向ける
5)喪失(取り返しがつかない)|崩壊タイプ
台本
「君の笑顔が2度と見られなくなるなんて……
一生そばにいてくれると思ってのに、なんでよ?、教えてよ……
戻ってきて。一体どうやって受け止めればいいの?」
戦略的演技ガイド
- 感情ピークが高い台本。叫びではなく破裂
- 「戻ってきて」はお願いではなく“現実拒否”
- 最後の疑問は、答えがない空洞を作る
6)止まらない涙(理解してるのに)|抑制崩壊タイプ
台本
「いくら涙を流しても、あなたは帰ってこないってわかってる。
わかってるのに、止められないんだ……あふれる涙が後悔と悲しみを連れてくる。
会いたいよ……ただそれだけが頭の中をぐるぐる回ってる。」
戦略的演技ガイド
- 「わかってる」を2回で温度差をつける
- ここは泣き声より“息が詰まる”方がリアル
- 最後「会いたいよ」は小さく刺す
7)思い出が壊れる悲しみ(怖い)|静かな恐怖タイプ
台本
「大切だった思い出が、少しずつ色褪せていくみたいで……怖いんだ。
あの時の笑顔も、声も、細かい仕草も、指の隙間からこぼれ落ちていく感じがする。
どうやって乗り越えたらいいのかな……。」
戦略的演技ガイド
- 悲しみ×恐れの複合。ここが演じられると強い
- 「怖いんだ」を“怯え”ではなく“静かな恐怖”で
- 長文は滑舌より“映像”を出す
8)言葉にならない悲しみ(沈黙)|余韻タイプ
※ここは「悲しみの別バリエーション」として、短い一言系を追加してもOKですが、今回は元ネタに忠実に「7本+喪失2本」で8扱いになるため、ここを“まとめ枠”として扱います。
悲しみは「台詞量が少ないほど難しい」感情です。
余裕が出てきたら、上の台本から一文だけ抜き出して 10秒版 にしてみてください。
演技力が一気に伸びます。
サブテキスト(言外の意味)3パターン|悲しみの深みを作る解釈
A:悲しみの中の「拒絶」
- 表:悲しい
- 裏:認めたくない
- 演技:言葉が詰まる、息だけが先に出る
B:悲しみの中の「怒り」
- 表:悲しい
- 裏:こんなの理不尽だ
- 演技:一瞬だけ語尾が強くなる
C:悲しみの中の「罪悪感」
- 表:悲しい
- 裏:自分のせいかもしれない
- 演技:声が前に出ない(内側に沈む)
音響監督・マネージャーにどう聞こえるべきか
✅評価される悲しみ演技
- 泣き声に頼らず、感情が伝わる
- 間が怖いほど上手い(余韻が使える)
- セリフが“映像”を連れてくる
❌落ちやすい悲しみ演技
- すぐ泣く(泣き芸になる)
- 毎回震える(単調)
- 全部同じ暗さ・同じテンポ
練習チェックリスト(3項目)
- ✅1:泣かずに“悲しさ”を成立させられる?
(できていないと:泣き声が主役になる) - ✅2:悲しみの種類(喪失/後悔/無力感)を演じ分けられている?
(できていないと:全部同じ暗さになる) - ✅3:語尾を落としすぎて聞き取れなくなっていない?
(できていないと:音として死ぬ)
まとめ:悲しみは「泣き」より「余韻」
悲しみは「泣けるかどうか」ではありません。
余韻と沈黙で観客を動かせるかです。
悲しみが設計できるようになると、あなたの演技は
「キャラクターを生きさせられる声」になります。
次回は「恐れ」カテゴリで、
“怖がる”ではなく 緊張感を伝える演技の作り方を解説します。
