こんにちは、元声優志望・現外資系コンサルタントのKotonoです。
今回は、女性向けボイスサンプルの中でも**「恐れ(不安・緊張)」**にフォーカスして、
感情表現台本&解説8選をまとめました。
「恐れ」は、声優志望者にとって意外と難しいカテゴリです。
なぜなら恐れは、“感情が激しい”わけではないのに、
聞き手の心臓を掴むような緊張感が必要だから。
恐れ演技でよくある失敗は、
- ずっと震える
- ずっと小声
- ただ弱々しい
- 怖がる演技を大袈裟にする
…という「表情(演技の記号)」に寄せてしまうこと。
でも制作サイド(音響監督・マネージャー)が評価したいのは、
恐れの中に“状況と判断”があるか
恐れが「行動」を生む演技になっているか
です。
この記事では、「怖い〜!」で終わらせず、
**恐れを“設計して伝える演技”**を、外資系コンサル視点(=プレゼン設計)で解説していきます。
この8本で目指すこと(ターゲットと目的)
■ターゲット:どんな役に刺さる?
恐れ演技が刺さる市場(役柄・ジャンル)は以下です。
- サスペンス・ホラー(生存本能の演技)
- 異世界・バトル(追い詰められるヒロイン)
- 人間ドラマ(不安・葛藤・パニック)
- 洋画吹替(息と間で作るリアル恐怖)
■目的:「恐れ」で証明すべき能力
恐れカテゴリで評価されるのは、
震える/小声が上手いこと
ではなく
“緊張感のコントロール”ができること
です。
恐れには種類があります。
- 視線の恐れ(見られている)
- 近づかれる恐れ(距離)
- 未来への恐れ(失敗)
- 身体が動かない恐れ(硬直)
- 闇への恐れ(想像)
- パニック(思考崩壊)
- 破滅想定(最悪のシナリオ)
この8本を演じ分けられると、あなたの演技は「現場で使える武器」になります。
恐れ演技のコンサル式フレーム(最重要)
恐れは、感情より先に状況認識があります。
つまり、恐れは「怖い」ではなく——
危険を理解した“結果”として出る反応
です。
① 恐れの“対象”を明確にする
- 人が怖いのか
- 状況が怖いのか
- 自分が怖いのか(失敗への恐れ)
対象が違うと、声の出方が変わります。
② 恐れの“行動”を決める
恐れは行動とセット。
- 逃げたい(距離を取る)
- 止めたい(拒否)
- 相談したい(助けを求める)
- 固まる(フリーズ)
行動が決まると、セリフが生きます。
③ 恐れの“呼吸”を設計する
恐れは息が9割です。
- 息が浅い(過呼吸)
- 息が止まる(硬直)
- 息が乱れる(パニック)
これを設計できる人は強いです。
【恐れ】感情表現台本&解説8選
1)視線の恐れ(威圧)|“見ないで”タイプ
台本
「お願い……そんな目で見ないで。
何か言おうとしても言葉が出てこない……怖い……。」
戦略的演技ガイド
- 小声にしすぎない(聞き取れなくなる)
- 「そんな目で見ないで」で恐れの対象を明確に
- 「言葉が出てこない」は息が止まる演技が効く
強調キーワード
- 「そんな目」=恐怖の原因
- 「言葉が出てこない」=身体反応
2)距離の恐れ(拒否)|近づかないでタイプ
台本
「近づかないで……
その無表情の裏に何があるのか、考えるだけでゾッとするの!
ごめん……でも、心の底からあなたが怖いの!」
戦略的演技ガイド
- 「近づかないで」は短く強く(拒絶)
- 2文目で恐れが“想像”に膨らむ
- 最後は謝罪(ごめん)→告白(怖い)の揺れがポイント
3)未来の恐れ(失敗)|論理と弱さが混ざるタイプ
台本
「ねえ、本当に大丈夫なの?もしこの計画が失敗したら、
取り返しのつかないことになるかもしれない。
わかってても、もう引き返すことはできないし……失敗したらってつい考えちゃう。
わたし、やっぱり弱いな。」
戦略的演技ガイド
- これは“怖がる”より不安の思考
- 「もし」「かもしれない」で想像の増殖を表現
- 最後「弱いな」は自己嫌悪で静かに落とす
4)身体の恐れ(硬直)|動けないタイプ
台本
「頭ではわかってる……今が踏ん張りどきだって。
でも、体が言うことを聞かないの……なんにも出来ないの。
情けないって思っても、どうしようもないくらい怖いんだよ……。」
戦略的演技ガイド
- 恐れの対象は外ではなく自分の身体
- 息を浅く、言葉を途切れさせるとリアル
- 「怖いんだよ」は訴え(助けを求めている)
5)闇の恐れ(想像)|静かな怖さタイプ
台本
「夜の闇がこんなにも恐ろしいものだなんて……感じたこと、あまりなかったな。
不安だけがどんどん増していくの……誰かがそばにいてくれたら、少しは違うのかな。
いつか、暗闇に飲み込まれて、わたしが消えちゃいそう……。」
戦略的演技ガイド
- これは“ホラー演技”ではなく心理描写
- 「増していく」のところは緩やかに悪化する声
- 最後は消えるように着地(余韻が怖い)
6)パニック(崩壊)|落ち着こうとして落ち着けないタイプ
台本
「大丈夫……大丈夫って自分に言い聞かせてるんだけど、全然ダメ。
冷静になろうと思っても、もう、頭も心もパニック状態で、どうにかなりそう……。」
戦略的演技ガイド
- 冒頭「大丈夫」は“呪文”。信じてない
- 息を乱す(軽い過呼吸)が効く
- 語尾「どうにかなりそう」は崩れる寸前で止める
7)破滅想定(最悪のシナリオ)|思考暴走タイプ
台本
「もし、何もかも終わってしまったらって考えるだけで……怖くて眠れないの。
そんな最悪のシナリオばかりが頭に浮かんで、自分を責める気持ちも止められない。
どうしてこんなに不安ばかり募るんだろう……自分が嫌になるよ。」
戦略的演技ガイド
- これは“恐れ”+“自己否定”
- 前半:不安の連鎖/中盤:責め/後半:自己嫌悪
- 最後「嫌になるよ」は吐き出すように(涙じゃなく疲弊)
8)極小恐怖(沈黙)|一言で怖いタイプ
恐れは本来、言葉よりも先に身体が反応します。
上の台本の中から1文だけ抜き出して 10秒版 を作ってみてください。
例:
「近づかないで……」
「お願い……そんな目で見ないで。」
この短さで成立させられると、恐れ演技が一気に洗練されます。
サブテキスト(言外の意味)3パターン|恐れの深みを作る解釈
A:恐れの裏に「怒り」がある(許せない)
- 表:怖い
- 裏:怖いけど、腹が立つ
- 演技:語尾が少し硬くなる/拒絶が強まる
B:恐れの裏に「恥」がある(弱さを見られたくない)
- 表:怖い
- 裏:情けない自分を隠したい
- 演技:声が前に出ない、言葉を飲み込む
C:恐れの裏に「依存」がある(助けて)
- 表:怖い
- 裏:一人にしないで
- 演技:語尾が相手に縋る/距離が近い声になる
音響監督・マネージャーにどう聞こえるべきか
✅評価される恐れ演技
- 恐れが“状況の結果”として成立している
- 息と間で緊張感が作れている
- 小声に逃げず、聞き取れる恐怖が出せる
❌落ちやすい恐れ演技
- ずっと同じ震え(単調)
- ずっと小声(音として死ぬ)
- 怖い顔の演技に寄りすぎる(声の演技になっていない)
練習チェックリスト(3項目)
- ✅1:恐れの対象(何が怖いのか)が声で伝わる?
(できていないと:ただ弱々しいだけになる) - ✅2:息で緊張感を作れている?(浅い/止まる/乱れる)
(できていないと:普通に読んでいるだけになる) - ✅3:恐れの中に「行動」がある?(拒否/逃げ/助け)
(できていないと:恐れているだけで終わる)
まとめ:恐れは“声量”ではなく“緊張感”
恐れは、声優志望者が「小さく演じることで逃げやすい」カテゴリです。
でも本当に評価されるのは、
小声が上手い人
ではなく
緊張感をコントロールできる人
恐れを「怖がる」で終わらせず、
**“観客の呼吸まで止める演技”**を作っていきましょう。
